8.7.4: 呼吸性アルカローシスに対する腎臓による代償(略した説明)

呼吸性アルカローシスに対して腎臓が代償すると、HCO3-がさらに減少する。 


第6章では、肺の機能亢進により低CO2血症がもたらされ、重炭酸緩衝系がH+→CO2方向へ変換することで低CO2血症が緩衝され、アルカローシスによるアルカリ血症がもたらされることを学んだ。 また、この際、重炭酸イオン(HCO3-)が低下することを学んだ。ここまでは下図のようにまとめられる。青丸は正常範囲であり、横軸はpH、縦軸はHCO3-濃度である。

重炭酸緩衝系により、低CO2血症という負荷が肺と腎臓で分担されたわけである。では、腎臓が分担すべき負荷をこなした、すなわち、不足するH+の排泄を低下させた場合を検討してみよう。

 

 

発症前H++HCO3-←→H2CO3←→H2O+CO2
原疾患(肺の機能亢進)により最初に起こる変化        ↓↓↓↓
重炭酸緩衝系の作用↓↓  ↓↓ →    ↑↑
<<ここまでの総和>>↓↓ ↓↓←→ ←→  ↓↓
腎臓による代償↑↑        
重炭酸緩衝系の作用  →   ↑ 
<<すべての総和>> ↓↓↓←→ ←→  


1段目(原疾患により最初に起こる変化)、2段目(重炭酸緩衝系の作用)、3段目(ここまでの総和)

第6章で説明ずみである。ただし、矢印の数が2倍になっている。これは、単に説明の都合である。この状態で、重炭酸緩衝系は化学的平衡(←→)を保っている。

4段目(腎臓による代償)腎臓が分担すべき負荷をこなし、腎機能が代償性に低下する。すなわち、不足するH+の排泄を減少させ、血しょう中のH+量が増大(↑↑)した。これは重炭酸緩衝系にとっては、新たな変化であり、3段目の平衡を崩す。

5段目化学的平衡に外からの攪乱で変化が生じると、「変化を打ち消す方向」に化学反応が進むため、腎臓による代償(H+↑↑)に対して、
H+ + HCO3- → H2CO3 → H2O + CO2
に反応が進行する。また、「変化量より少ない量」化学反応が進むため、変化量は4段目より少なく、矢印は1本ずつである。

6段目(すべての総和)3段目から5段目までの(すなわち,1,2,4,5段目の)総和である。3段目、すなわち、腎臓の代償と重炭酸緩衝系の作用が加わる前の状態と比較してみよう。

*アルカリ血症(pH増大)が緩衝(H+:↓↓→↓)されている
*低CO2血症が緩衝(↓↓→↓)されている
*HCO3-の低下がさらに進行(↓→↓↓↓)している

ここに注目しよう!

 

 

 

 

 

腎臓による代償と重炭酸緩衝系の作用が加わることにより、アルカリ血症(pH増大)が緩衝され、HCO3-がさらに低下した様子を上図に書き加えてみたのが上図である。

 

 

チャレンジクイズ

1 腎臓によって代償される前の呼吸性アルカローシス(肺の機能亢進による低CO2血症に対して重炭酸緩衝系が作用した状態)においては,HCO3-は正常値よりも 低下 増大  する.

2 呼吸性アルカローシス(によるアルカリ血症)に対する腎臓の代償とは,H+排泄の 低下 増大 である.

3 呼吸性アルカローシス(によるアルカリ血症)に対して腎臓が代償したのち,重炭酸緩衝系は, 

H2O + HCO3- ← H2CO3 ← H2O + CO2
H2O + HCO3- → H2CO3 → H2O + CO2
方向へ作用する.

4 呼吸性アルカローシス(によるアルカリ血症)に対する腎臓の代償作用と重炭酸緩衝系の作用により,低CO2血症は さらに進行する 緩衝される  .

5 呼吸性アルカローシス(によるアルカリ血症)に対する腎臓の代償作用と重炭酸緩衝系の作用により,HCO3-の低下は さらに進行する 緩衝される  .

6 呼吸性アルカローシス(によるアルカリ血症)に対する腎臓の代償作用と重炭酸緩衝系の作用により,アルカリ血症(pH増大)は さらに進行する 緩衝される  .

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