8.7.5: 代謝性アルカローシスに対する肺による代償(略した説明)

代謝性アルカローシスに対して肺が代償すると、HCO3-がさらに増大し、CO2も比例して増大する。  


第6章では、腎臓の機能亢進によりアルカリ血症がもたらされ、重炭酸緩衝系がH+←CO2方向へ変換することでアルカリ血症が緩衝され、低CO2血症がもたらされることを学んだ。また、この際、重炭酸イオン(HCO3-)が増加することを学んだ。ここまでは下図のようにまとめられる。青丸は正常範囲であり、横軸はpH、縦軸はHCO3-濃度である。

重炭酸緩衝系により、アルカリ血症という負荷が肺と腎臓とで分担されたわけである。では、肺が分担すべき負荷をこなした、すなわち、不足するCO2の排泄を低下させた場合を検討してみよう。

発症前H++HCO3-←→H2CO3←→H2O+CO2
原疾患(腎臓の機能亢進)により最初に起こる変化↓↓↓↓        
重炭酸緩衝系の作用↑↑ ↑↑ ←   ↓↓ 
<<ここまでの総和>>↓↓ ↑↑←→ ←→  ↓↓
肺による代償        ↑↑↑↑
重炭酸緩衝系の作用↑  ↑ ←    
<<すべての総和>> ↑↑↑←→ ←→  



1段目(原疾患により最初に起こる変化)、2段目(重炭酸緩衝系の作用)、3段目(ここまでの総和)

第6章で説明ずみである。ただし、矢印の数が2倍になっている。これは、単に説明の都合である。この状態で、重炭酸緩衝系は化学的平衡(←→)を保っている。

4段目(肺による代償)肺が分担すべき負荷をこなし、肺機能が代償的に低下する。理由はCO2量の低下だけではなく、代謝性アルカローシス(によるアルカリ血症)が直接的に呼吸を抑制するのである。両者とも呼吸を低下させるため、CO2は大きく増大(↑↑↑↑)する。 これは重炭酸緩衝系にとっては、新たな変化であり、3段目の平衡を崩す。

5段目化学的平衡に外からの攪乱で変化が生じると、「変化を打ち消す方向」に化学反応が進むため、肺による代償(CO2↑↑↑↑)に対して
H+ + HCO3- ← H2CO3 ← H2O + CO2
方向に反応が進行する。また、「変化量より少ない量」化学反応が進むため、変化量は4段目より少なく、矢印は1本ずつである。

6段目(すべての総和)3段目から5段目までの(すなわち,1,2,4,5段目の)総和である。3段目、すなわち、肺の代償と重炭酸緩衝系の作用が加わる前の状態と比較してみよう。

*アルカリ血症(pH上昇)は緩衝(H+:↓↓→↓)されている
*低CO2血症も代償(↓↓→↑)されている
*HCO3-の増大がさらに進行(↑↑→↑↑↑)している

ここに注目しよう!

 

 

 

 


なお、
    HCO3-の(正常値=24 mEq/Lからの)増大量×(0.5〜1.0)
=CO2の(正常値=40 mmHgからの)増大量


と言われている。

肺による代償と重炭酸緩衝系の作用が加わることにより、アルカリ血症(pH上昇)が緩衝され、HCO3-の上昇がさらに進行した様子を書き加えてみたのが上図である。

 

 

チャレンジクイズ

1 代謝性アルカローシス(たとえば,腎臓の機能亢進)に対して重炭酸緩衝系が作用すると,(肺によって代償される前,)HCO3-は正常値よりも 上昇 低下  する.

2 代謝性アルカローシス(によるアルカリ血症)に対する肺の代償とは, CO2排泄の 低下 増大  である.

3 代謝性アルカローシス(によるアルカリ血症)に対して肺が代償したのち,重炭酸緩衝系は, 

H2O + HCO3- ← H2CO3 ← H2O + CO2
H2O + HCO3- → H2CO3 → H2O + CO2
方向へ作用する.

4 代謝性アルカローシス(によるアルカリ血症)に対する肺の代償作用により,低CO2血症は 緩衝される さらに進行する  .

5 代謝性アルカローシス(によるアルカリ血症)に対する肺の代償作用とは, 

重炭酸緩衝系がもたらす低CO2血症だけではなく、アルカリ血症による呼吸抑制
重炭酸緩衝系がもたらす低CO2血症による呼吸抑制
であるため, 低 高 CO2血症がもたらされる.

6 代謝性アルカローシス(によるアルカリ血症)に対する肺の代償作用と重炭酸緩衝系の作用により,HCO3-の増大は さらに進行する 緩衝される  .

7 代謝性アルカローシス(によるアルカリ血症)に対する肺の代償作用と重炭酸緩衝系の作用により,アルカリ血症(pH増大)は 緩衝される さらに進行する  .

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