8.3.10: 重炭酸緩衝系の作用

重炭酸緩衝系の作用
 1.水素イオン濃度(pH)とCO2濃度の迅速な調節作用
 2.腎臓と肺の負荷分担作用
筋肉から急激に乳酸が放出された場合を例に、ふたつの作用を考えてみよう!


激しい運動により筋肉細胞から乳酸(H+)が急激に血中へ放出された(左図)とします。これは、血漿のH+濃度を増大します(pHを低下させる)。血中乳酸濃度は、激しい運動により1→5 mEq/Lなどと上昇し得ます。これは、pHを約0.4低下させ得ます。pHが7.4から7.0へ低下することは、致死的です。酸(H+)の排泄は、腎臓の仕事ですが、時間がかかってしまい、その間、pHは低下したままです。

しかし重炭酸緩衝系は、H+が増大すると、 H+ → CO2 の方向に化学反応が進行する(左図) わけですから、放出されたH+を迅速にCO2に変換し、pHの低下を軽減させることができます。

水素イオン濃度(pH)の迅速な調節作用だ!

また、これは、腎臓の負荷(H+の排出)の一部を、肺に分担させたことにもなります。

負荷分担作用だ!

 

チャレンジクイズ

1 重炭酸緩衝系によるpH調節は、腎臓によるpH調節より 速い 遅い 

2 重炭酸緩衝系により、腎、肺は、負荷を分担できる。 正 誤 

3 運動により、筋から乳酸が血中に放出された。血漿緩衝系がなければ、乳酸が遊離するH+は、pHを 低下 上昇 させてしまう。しかし、血漿緩衝系、特に、重炭酸緩衝系の重炭酸イオンは 酸性 アルカリ性 物質であり、H+と結合することで、運動時のH+の 減少 増大 を緩衝する。この際、重炭酸緩衝系は 

H++HCO3- → H2CO3 → H2O+CO2
H++HCO3- ← H2CO3 ← H2O+CO2
の方向に作用し、重炭酸イオンは 増大 減少 し、CO2が 分解 生成 される。さらに、運動時、換気が 亢進 低下 することにより、重炭酸イオンの緩衝作用を 助長 阻害 する。

4 運動により、筋から乳酸が血中に放出された。血漿緩衝系がなければ、乳酸が遊離するH+は、pHを 上昇 低下 させてしまう。しかし、血漿緩衝系の一部である重炭酸緩衝系はH+をCO2に変換することで、運動時のH+の 増大 減少 を緩衝する。

5 激しい運動中の乳酸の大量生成により、動脈血に最初に起こる変化は、 H+ CO2 濃度の 減少 増大 である。

6 激しい運動により(重炭酸緩衝系の作用なしに)、動脈血に最初に起こる変化は、H+増大、すなわち 

高CO2血症
低CO2血症
代謝性アシドーシス(による酸血症)
呼吸性アルカローシス(によるアルカリ血症)
代謝性アルカローシス(によるアルカリ血症)
呼吸性アシドーシス(による酸血症)
である。

7 激しい運動により、

呼吸性アルカローシス(によるアルカリ血症)
代謝性アシドーシス(による酸血症)
呼吸性アシドーシス(による酸血症)
高CO2血症
代謝性アルカローシス(によるアルカリ血症)
低CO2血症
がもたらされる。

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: 重炭酸イオンの動き

: 血中のH+濃度が低下