8.4.5: 酸性物質の分類-2-

尿中の酸性物質がNaOHで中和されるかどうかの分類

滴定酸

=NaOH(強アルカリ)で中和される酸性物質.
尿中の酸性物質を定量する際,多くの酸性物質を別々に定量することは困難かつ煩雑であるため,一定量の尿がどれだけのNaOHで中和されるか?で定量する.
  • 尿において滴定酸を定量するときは,「尿のpHを(7.0ではなく)7.4にするのに必要なNaOHの量」が滴定酸の量である.
  • 滴定酸にアンモニウムイオンは含まれない.
  • 結局,滴定酸とは,正常人では,
    尿細管から分泌されたH+の量
    +HCO3-が再吸収されて排出したH+の量
    の総和のうち,「糸球体からろ過された不揮発性酸」に緩衝された量である.
  • 酸血症,アルカリ血症のある患者では,滴定酸とは,
    尿細管から分泌されたH+の量
    +HCO3-が再吸収されて排出したH+の量
    +「糸球体からろ過される不揮発性酸」の増減分に結合しているHの量
    の総和である.
左上:乳酸,ケトン体,リン酸,硫酸などの「糸球体からろ過される不揮発性酸」が生体と同じ濃度で水溶液中にあると,多くの水素原子(H)を結合しており,同時に多くの水素イオン(H+)を解離してpHは約3となる.

右上:血しょうでは,同じ濃度の「糸球体からろ過される不揮発性酸」があっても重炭酸緩衝系(図中のHCO3-)に代表される血しょう緩衝系がH+を中和して減少させ(H+の数は7→3に減少),「糸球体からろ過される不揮発性酸」に結合しているHも減少させている.pHは7.4まで増大している.

左下:腎臓は,
*1.「糸球体からろ過される不揮発性酸」
*2.「尿細管から分泌される不揮発性酸」その1:HCO3-の再吸収による水素イオン(H+)の排出
*3.「尿細管から分泌される不揮発性酸」その2:水素イオン(H+)の分泌
により,酸性物質を排泄している(前述).そのため,HCO3-は血しょうよりも減少している(血しょうでは4コ,尿では1コ).また,分泌,生成したH+は,
*1.「糸球体からろ過される不揮発性酸」による緩衝
*2.アンモニア(NH3)による緩衝
を受ける(前述).そのため,
*尿中には「糸球体からろ過される不揮発性酸」があり,血しょう中でも結合していたH(赤い四葉のクローバの中心にある右側のH)ならびに,緩衝作用によって増えたH(左側のH)が結合している.
*尿中にはアンモニウムイオン(NH4+)がある.
*尿中のH+(5コ)は血しょう中のH+(3コ)より多い.すなわち,尿のpHは血しょうよりも低い.

右下:左下の尿にある一定量のNaOHを混入すると,pHは7.4にもどる.この際,尿中で血しょうよりも増大した H+(2つ)も,「糸球体からろ過される酸性物質」に緩衝され結合したHも,ナトリウムイオン(Na+)ないし,ナトリウム(Na)に置換される.結局,解離しているH+の量も「糸球体からろ過される酸性物質」に結合しているHの量も血しょうと同等となる.

滴定酸ではない酸性物質

=アンモニウムイオン
アンモニウムイオンはpH7附近ではH+を解離させないため,NaOHに中和されない=滴定酸ではない.

炭素を含むかどうかの分類

炭素(C)を含む酸性物質が「有機酸」であり,含まない酸性物質が「無機酸」である.乳酸,ケトン体などが有機酸であり,リン酸,硫酸,アンモニウムイオン(NH4+)などが無機酸である.

チャレンジクイズ

1 アンモニウムイオンは滴定酸で ある はない .

2 尿中の滴定酸の量は尿のpHを 7.0 7.4 にするのに必要な 

H2SO4
NaOH
H3PO4
HCO3-
の量である.

3 滴定酸に含まれるモノは,選択肢のうち,

腎不全患者などにおいて、「糸球体からろ過される不揮発性酸」の増量分に結合しているHの量
HCO3-が再吸収されて生成し、アンモニア(NH3)に緩衝されたH+の量
尿細管から分泌されて「糸球体からろ過された不揮発性酸」に緩衝されたH+の量
HCO3-が再吸収されて生成し、「糸球体からろ過された不揮発性酸」に緩衝されたH+の量
尿細管から分泌されてアンモニア(NH3)に緩衝されたH+の量
正常人の血中にもある「糸球体からろ過される不揮発性酸」に結合しているHの量
である.

4 乳酸は 無機酸 有機酸 である.

5 ケトン体は 無機酸 有機酸 である.

6 リン酸は 無機酸 有機酸 である.

7 硫酸は 有機酸 無機酸 である.

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