3.6: 呼吸商


酸素(O2)は肺胞から血中に取込まれ、体内の細胞に分配されます。当然のことながら、呼気のO2濃度は、吸気よりも低くなります。この濃度差と一回換気量の積が、血中に取込まれたO2の量であり、定常状態では、体細胞に供給された量でもあります。ある一回の呼吸において取りいれられたO2の量が、そのときの全体細胞のO2消費量の総和である、と考えるのは無理がありますが、一分間ほどのまとまった時間であれば、ほぼ等しいと考えてもよいでしょう。同様のことが、CO2の排出に関しても考察できます。すなわち、呼吸(換気)によるO2、CO2の出し入れを内呼吸の総和である、と考えることができるのです。

呼吸商は、次の様に定義されています。

          単位時間あたりのCO2排出量
呼吸商= ----------------------------------
           単位時間あたりのO2消費量

三大栄養素は、糖、脂質、タンパク質であり、それぞれ、炭素原子、酸素原子、水素原子などの構成割合が異なります。そのため、内呼吸のとき、どの栄養素が分解しているかにより、消費されるO2と産生されるCO2の割合が異なります。体細胞全体である栄養素が主に代謝されているとき、その割合は、呼吸にも反映されるはずです。それを表現したのが、呼吸商なのです。



脂質: 脂肪酸の構造を考えてみると、炭素原子(C)の鎖のようなものです。脂肪酸自体の中に酸素原子が非常に少ないため、分解するときは多くの酸素を消費しなければなりません。O2消費量の割には、CO2産生量が少ないため、呼吸商は、0.71と三大栄養素の中では最小です。脂肪は、酸素の含有率が低いので、重量あたりの熱量は、9.3kcal/gと三大栄養素中最大です。エネルギーを保存する場合に適した栄養素であり、過食により皮下に貯蔵されるのも脂質です。

糖類: 一般的に、原子の割合はC6H1206です。酸素原子が多く含まれているため、酸素消費量は少なくても分解できます。呼吸商は、1.00と三大栄養素の中では最大です。逆に、酸素の含有が高いので、重量あたりの熱量は、4.1kcal/gと三大栄養素中最小です。

タンパク質: 原子の割合は脂質と糖質の中間であり、呼吸商は、0.85、熱量は、5.3kcal/gです。

チャレンジクイズ

1 生体のCO2排泄量のO2摂取量に対する比を 換気量  呼吸商 という。

2 呼吸商とは、

CO2排泄量のO2摂取量に対する比
O2摂取量のCO2排泄量に対する比
である。

3 呼吸商は、その時消費されている栄養素の 種類 量 が示唆される。

4 糖質と脂質とでは、脂質の方が含有する酸素原子は 多い 少ない 

5 ぶどう糖と脂質とでは、脂質の方が呼吸商は 大きい 小さい 

6 ブドウ糖の呼吸商は、約0.7 1.0 である。

7 脂質の呼吸商は、約0.7 1.0 である。

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