ホルモン生産性(ホルモン産生)腫瘍とは,ホルモン生産性細胞が外からの調節を受けなくなる暴走である.
下垂体前葉系,その1の甲状腺,副腎皮質,性腺の3層構造の諸々の臓器に腫瘍が発生し,ホルモンを大量に生産,生成、内分泌することがあります.(それ以外のホルモン生産性腫瘍に関しては後述する)このときの特徴は
法則1 | ホルモン生産性(ホルモン産生)腫瘍から大量に生産されるホルモンの構造,生理作用は,正常である.すなわち,そのホルモン作用は増大する. |
法則2 | ホルモン生産性(ホルモン産生)腫瘍は上位ホルモンの血中濃度に依存せずに勝手にホルモンを大量に生成、内分泌し続ける. |
法則3 | ホルモン生産性(ホルモン産生)腫瘍には下位ホルモンの血中濃度からのフィードバックが働かない. |
たとえば,下垂体にACTH生産性腫瘍が発生したとしよう.ACTHの生成、内分泌が亢進し,血中濃度が上昇します.このときは...
法則1があてはまり...
血中濃度が上昇したACTHの作用は正常であるため,副腎皮質ホルモンの生成、内分泌,血中濃度は2次的に亢進(上昇)します.またACTHのCRHに対する負のフィードバックは働いているため,CRHの生成、内分泌,血中濃度は低下します.
法則2があてはまり...
CRHの生成、内分泌,血中濃度は低下するが,「ホルモン生産性(ホルモン産生)腫瘍は上位ホルモンの血中濃度に依存せずに勝手に大量の生成、内分泌を続ける」のであるから,ACTHの生成、内分泌は亢進しつづけます.
法則3があてはまり...
副腎皮質ホルモンの分泌,血中濃度が亢進(上昇)しても,「ホルモン生産性(ホルモン産生)腫瘍には下位ホルモンの血中濃度からのフィードバックが働かない」だから,ACTH生成、内分泌は低下しません.